探偵すら欺くガードの固い不倫カップルとの攻防戦

依頼者は結婚11年目を迎える30代後半の男性。
2人のお子さんを持ち、多忙な仕事の傍ら、家庭のために頑張ってきました。
会社では役職があがって繁忙期は残業や休日出勤が続き、忙しい日が続いていきましたが、その分収入も増えていたため家庭は余裕のある暮らしができていた様子。
一方で、お子さんがある程度大きくなっていったところで奥さんも仕事に復帰。
育休をとっていた期間を除いては、キャリアウーマンとして企業で働いていました。旦那さん、奥さんともそれぞれの仕事が忙しかったものの、家庭は円満だった様子。
しかし、ある時からお互いの時間にすれ違いが生じてきてしまいました。
妻の帰宅がだんだん遅くなり・・・
決して夫婦仲が悪かったわけではないようですが、奥さんも仕事に対する熱意から帰宅時間が遅くなることが多くなりました。
会社での付き合いから飲み会に出たり、歓送迎会、友人との付き合いも増え、仕事でのキャリアを積めば積むほど交友関係が広くなっていきました。
夫婦で財布は別にしていたことから、旦那さんは奥さんの収入については詳しくは把握していなかったとのこと。
ただ、奥さんが周囲とのつきあいが増えるごとに、なぜかファッションやメイクが若めになって異性を意識したような振る舞いをするようになっていったようです。
こういったケースは確たる根拠はないものの、夫婦として生活してきた旦那さんが「様子がおかしい」と「直感的に感じる」ことは、そこに何らかの理由が隠されています。
この場合も結果として奥さんが不倫関係にあったようですが、それを感じ取ったのは旦那さんの「直感」でした。
奥さんがいつものように仕事に出かけていくといっては、会社で着るような営業向けのスーツとは違った雰囲気の服を着ていく。
仕事へは行っているものの、営業が多いため、そこで誰か別の男性と関係を持っているのではないかと疑ったのです。
旦那さんは「浮気の証拠などはないものの、何か夫婦の間に隠していることがあるのではないか」と言って浮気の可能性を探ってほしいと依頼してきました。
見知らぬ男性とビジネスホテルの中へ

浮気調査の場合、そこに何らかの手がかりがありますが、このケースでは奥さん側に浮気を思わせる手がかりはありません。
そのため、週末や休日の何時何分などと日時を絞って調査することができませんでした。
旦那さんはそれを了解しており、平日や休日問わずに奥さんの行動を把握するために調査するという契約を交わしています。
まずは奥さんの普段の様子を確認するため、「仕事へ向かう雰囲気とは違った時」という漠然とした状況の時だけ連絡をもらい、その日に調査員が稼働。
平日の火曜日に奥さんが自宅を出て会社へ向かうところから浮気調査をはじめました。
自宅を出た奥さんは徒歩で駅に向かい、そのまま在来線に乗って30分程離れた駅で降り、駅前にオフィスを構えるビルの中へ入っていきました。
そして、午前10:00くらいになって奥さんがオフィスから出てくるのを確認。
会社の車(社名などは入っていない普通車)に乗って、郊外へ向かっていきました。
調査員はあとを追跡していくと、奥さんの車はビジネスホテルに入り、どういうわけか地下駐車場の目立たない奥のほうへ駐車。
ホテルで仕事の取引先の人間と会う可能性があることから、調査員はそのまま奥さんのあとを追跡しました。
すると、地下からエレベーターでロビーに出たところで、奥さんはスーツを着た40代の男性のあとに続き、ホテルの中の部屋へと向かっていきました。
この段階で一旦追跡は中止し、旦那さんに連絡。
2人の様子を見たところでは、40代と思われる男性と会ったものの、奥さんの表情に笑顔などはなく、どちらかというと男性に案内されるようなかたちで部屋へと向かっていく様子でした。
再び男性2人とのホテルで密会?

1回目の調査では奥さんが夕方16:00頃に1人でホテルから出てきた場面を確認したものの、そこに男性の姿はなし。
そこで、また別の日に調査をするということで旦那さんから再び連絡が入りました。
また仕事へ行くときとは少し違う雰囲気のメイクだったり、いつもとは違う香水をつけているとのこと。
調査員は連絡を受けた時点ですぐに出動して、奥さんのオフィス前に張り込みました。
前回同様、奥さんは会社の車で同じビジネスホテルに入り、今度はロビーで20分ほど待っていました。
すると、奥さんの前にまた40代くらいのスーツを着た男性が現れ、軽く挨拶を交わしたあとで2人で部屋へ向かっていきました。
やはり、このときの様子から、男性は会社の取引先の相手の秘書のような素振りで奥さんを案内。
調査員はホテルの部屋にいる別の人物こそが奥さんが会っている相手だろうと推測しました。
このことから、ホテル内にいる男性をつきとめることが先決と判断し、奥さんがホテルから出た夕方以降にロビーを張って、男性の姿を追いました。
そして、夜19:00くらいになったところで、エレベーターから40代のスーツの男性が現れ、そのあとをついていくように50代後半くらいの体格のいい男性が現れました。
ガードが固く決定的な証拠を掴めず
この状況を報告すると、旦那さんは調査の続行を判断するとともに、浮気相手なのか会社の取引先の相手なのかも判断するまで長期戦になることを覚悟した様子でした。
調査員は奥さんと同時に相手の男性を追っていきますが、50代の男性のいるところには必ず秘書と思われる40代の男性がついていて、別の日には女性がついたり、また別の日には男性がついたりという状況。
決して1人でいることはなく、秘書と思われる男女が常に周囲にいて、さらに車には運転手がついている状態。
奥さんも1か月のうちに5〜6回は男性と接触する様子が確認できますが、2人だけでホテルに入ることはなく、誰かにガードされている状態。
それが調査するたびに続き、望遠カメラを構えても、調査員を増やしても奥さんと50代の男性が不倫関係にあることの証拠を掴むことができませんでした。
ただ、女性の調査員が周辺調査を続けていく中で、あらゆるところから聞き込みを実施。
奥さんをよく知る人物数人からそれとなく話を聞き、「取引先の会社の社長さんと関係をもって仕事もらってたみたい」という証言を聞いたそうです。
やはり、奥さんは仕事の中で出会った相手と恋愛関係に発展し、お互いの好意もあって不倫していた様子。
しかし、2人ともその関係を完全に隠すために対策をうち、会うときはビジネスホテルの中やセキュリティの高いビルの中など、仕事とプライベートの判別のつかないような状況を作りだして会うという手法をとっていました。
調査員はそのたびにビルのセキュリティをチェックしたり、カメラで狙えるアングルを徹底的に探しましたが、2人に狙えるポイントはなし。
長期戦で何度も証拠をとろうと試みるも、相手のセキュリティの高さを崩すことができず、結果として浮気調査は失敗に終わりました。
浮気調査では90%以上は確実な証拠がとれますが、このように長期的に調査しても結果が得られないケースも存在します。
こういった場合は、依頼者との連絡を密にして、調査員の調査プランや経過を確実に伝えること。それに対し、依頼者はどこで調査を打ち切りにするか、費用の問題も含めて検討する必要があるでしょう。
探偵の仕事は調査対象者の行動次第で結果の成否に大きく影響してきます。1回で証拠がとれる場合が多くありますが、何度やっても成果がでない場合もあるのです。
そのあたりは、依頼者が「浮気をしていると思う手がかりや情報をどれだけ持っているか」にかかってくるといえるでしょう。