始まりは2人のご主人からの依頼

同時に2人の男性が訪れ、お互いの妻を調査してほしいと相談がありました。
一方の男性は結婚7年目を迎える36歳、もう一方は結婚8年目になる39歳の男性です。
同時に2人の依頼というのは極めてまれなケースであり、探偵事務所では相談を聞きながら入念に調査プランを練ることにしました。
相談内容は、片方の男性A氏が、奥さんが浮気をしているので調査してほしいとのこと。
すでに2人の小学生のお子さんがいて、営業の仕事をしているため、家庭内のことは奥さんにまかせているということでした。
奥さんはパートで働いているものの、子供の世話をするために短時間労働の勤務。
1年ほど前から、奥さんが仕事終わりにどこかへ行って他の男性と会っているという情報を耳にしたとのこと。
そこでまず相談したのはもう一方の男性B氏でした。
この両者は、奥さん同士が同じパートの職場で働いているママ友であり、そのつながりから知り合いになったようです。
しかし、A氏が自分の奥さんの様子をB氏に相談したところ、「うちの妻も普段からあやしい」という話になり、それぞれが奥さんに対して不審に思ったようです。
A氏の別の友人が営業の傍ら、奥さんが見知らぬ男性と仲が良さそうに話しをしているところを目撃したそうです。さらに、そこにはB氏の奥さんもいて、いつも同じ場所で頻繁に男性らと会っているところを見たとのこと。
パートの仕事が終わり、2人のママ友が百貨店の大型駐車場で車を並べて、男性らと話をしていたのです。一緒にいる男性は2人であり、20代後半くらいの年齢ではないかと推測。
当然ながら、A氏、B氏とも奥さんに「浮気してないよな?」など問いただすような会話をしましたが、それぞれが浮気を否定。
いつも百貨店で夕食の買い出しなどをしているために、百貨店に行っている事実からは何ら不審点を見出すことはできなかったようです。
事前調査は馴染みの百貨店から

まずは奥さんらがいつも仕事終わりに立ち寄る百貨店の事前調査から開始。
あらかじめ依頼者であるA氏、B氏から奥さんのパートの勤務時間を聞いておき、仕事終わりにそこに立ち寄れば、2人の奥さんの調査を開始します。
平日の昼15時30分くらいから4名の調査員が現場で待機。すると、15時40分にA氏の奥さんが現場にやってきました。
あらかじめ聞いておいた車のナンバー、車から降りてきた女性の顔などからA氏の奥さんであることが判明。調査員1名がすぐに追跡し、店内に入って行く様子を確認しました。
奥さんは普通に買い物をして食料品などが入った袋を下げて店から出たあと、車に乗り、スマホを操作している様子。
この段階では何ら不審点はなかったものの、その10分後に、奥さんが車を動かすと、帰宅せずに同百貨店の3階の駐車スペースに移りました。
そして、そこにはB氏の奥さんの車と、その隣りに黒いセダンタイプの車両が1台停まっているのがわかりました。
3階の駐車場はかなり広いスペースであるものの、平日の昼間であることから、他にほとんど車はなく、その3台は店の出入り口から最も遠い位置に停まっていました。
奥さんは車から降りると、B氏の奥さんと合流し、2人とも車から降りて手を振って立ち話を始めました。そして、その直後に隣りに駐車していたセダンタイプの車から若い男性2名が降りてきて、奥さんらと合流。
4名は笑顔で挨拶すると、そのまま少し立ち話を始めました。
調査員は遠方から車内で撮影を開始。1名だけが外へ出て4人の会話の内容を聴取するために特殊マイクを使って音声を拾います。
4人は「今日の仕事の内容について」「今使っているスマホの機種について」など、何気ない日常の会話を交わしていました。
かなり仲の良い様子で終始笑顔で会話をしていましたが、その中である事実が判明。車から降りてきた男性2名は、奥さんらと同じ会社に勤務していることがわかりました。
そして、ついに会話の中で浮気に関する言葉が出たことを確認。
「これから○○どうする?」「うん、今日は旦那帰り遅いから行こうかな。」という会話を聴取しました。
「○○どうする?」とは百貨店から車で20分ほど行ったところにあるラブホテルの名称であることから、そのホテルへ行く可能性が高いことが判明。
調査員2名はすぐに車を動かし、現場へ先回りして撮影の準備にかかりました。残った2名の調査員はそのまま音声をひろって、奥さんが2人ともホテルへ行くのかどうかの判断を待ちます。
そして10分後に、A氏、B氏の奥さんは2人とも男性の車に乗り込みました。1台の車に乗った4名は駐車場を出ると会話の内容どおりにラブホテルがある方面へ向かっていきます。
調査員は追跡し、現場へ先回りしている2名の調査員に連絡。20分ほどしてラブホテルに入って来たセダンタイプの車をカメラにおさめました。
確たる証拠をフレームに収める

ラブホテルの外観から、入ってくる車両を撮影。そして、まず車から降りるA氏の奥さんの表情と、一緒にホテルの部屋に入る男性の姿をとらえました。
車はそのままホテルの敷地内を移動して、別の部屋の駐車スペースにとまり、そこでもう一方の男性とB氏の奥さんが降りてきたところを確認。
2人が部屋へ入って行く様子の撮影に成功します。
これでA氏、B氏、両名の奥さんが同時に浮気相手と白昼堂々とホテルに入っていったという事実確認ができました。もはや浮気は確実で、その後は4名が部屋から出てくる場面を撮影するだけとなりました。
ホテルの休憩時間の2時間が経過するところで調査員は再び撮影準備を開始します。
平日の昼間にホテルに滞在できるのは約2時間が限度。規定の時間と料金の設定から、やはり4名は2時間が経過する10分ほど前にホテルの部屋から出てきました。
当然、調査員はその現場を撮影。これで、4名が不貞行為に至ったという事実は明らかとなり、浮気が確定しました。
調査の後日談
調査の内容と結果を依頼者であるA氏、B氏に報告。面談して証拠となるVTRを渡し、会話の音声データなども確認してもらいました。
両名はこの報告を聞いて困惑していましたが、それぞれが決断を下したようです。
帰宅してから奥さんに浮気の事実を確認し、問い詰めて認めさせました。そして、協議の結果、2人ともお子さんがいることで、家庭を守ることで合意。
離婚をすることなく、夫婦関係を継続することになったようです。
もちろん、旦那さんは奥さんらに対してかなり怒り、離婚をしない代わりにさまざまな条件をつけました。次回、このような事実が確認された場合に財産や親権をどうするかなどを細かく規定して合意書を作成。
浮気相手の男性に対しては慰謝料を請求しなかったものの、勤務先などに4名の事実を告げてしまいました。
あくまでプライベートな問題なので、会社として具体的な対応はしなかったようですが、周囲がこういったトラブルを避けるため、4名を問題視しました。
当然、パート労働者である奥さんらは会社にいづらくなり、退職を与儀なくされました。職場で知り合った同僚がママ友になり、それから浮気仲間になってしまう特殊なケースといえるでしょう。
しかし、ママ友のつながりは時間とお金に余裕があると、こういったケースに発展する可能性があるといえます。