酒で気が大きくなり・・・気づいたときにはもう手遅れ

浮気とお酒の関係には、切ってもきれない因縁めいたものがあります。
探偵事務所で浮気調査をしていると、お酒が絡んだ浮気の事例が数多くあるのです。
夫婦であること、子供がいること、仕事があることなど。理性や常識を吹っ切って一線を超えるき、そこにお酒の力が働いている可能性は大きいといえます。
お酒にのまれてしまう人にとっては、「飲酒モード」と「しらふモード」の性格はまるで別人です。酔っぱらいは世を払うと言うとおり、酒に酔って夫婦の契約も破ってしまうのです。
始まりは夫から行動調査の依頼
40代女性から夫の行動調査についての相談がありました。結婚してからわかったとのことですが、旦那さんはかなりお酒で性格が変わるタイプの人とのこと。
飲む量が多くそれでいて弱いというタイプで、飲んでいる時は記憶がないそうです。よくある酒に溺れるタイプの人といえるでしょう。
ただ、酒乱で暴れるというわけではなく、酔っているとかなり気が大きく陽気になってしまうようです。このことで、依頼の前にひと悶着あり、奥さんは我慢できず探偵事務所に相談に来ました。
酒を飲むとさわぎ出し、ハメをはずした子供のような性格になります。
それでいて、翌日しらふに戻ると「どうも昨日はすみません・・・。」と、借りてきた猫のように反省して大人しくなってしまいます。
数週間前に警察の留置所に入れられてしまったとのこと。駅でトラブルを起こし、モメた相手を殴ってしまったそうです。
相手とは示談したそうですが、このことをきっかけに旦那さんとの関係を深刻に考え始めました。奥さんは今まで笑える状態でしたが、いよいよ不安と我慢の限界がきたようです。
行動調査を希望していたため、夫の酒癖の悪さが夫婦生活に支障をきたすものであれば、離婚理由にあたります。
これまでの経緯を見ても「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると思われました。調査結果と夫の状態を見て「離婚もあり」と決断しての依頼だったのでしょう。
調査スタッフは旦那さんを追跡し、週末の仕事帰りに飲んでいる様子を確認しました。
同僚と居酒屋で楽しく飲んでいる様子で、中に同じ会社の女性もいることがわかりました。調査スタッフも店内に潜入して、旦那さんがいる座敷席の隣りから会話内容を聴取しています。
「○○ちゃん好き〜!!」
「今度社長に思い切って言ってやるよ!」
酒の席ではよくある会話ですが、旦那さんは時間とともに気が大きくなってハメをはずしているのがわかります。
しかし、問題が起きたのは2件目で飲み終えた後のことでした。
宿泊先はラブホテル・・・?

いつものように飲むと帰れなくなる旦那さんは、「今日カプセルに泊まる」と奥さんに電話を入れました。
ところが向かった先はラブホテルです。
タクシーで郊外に行き、女性と合流したのです。相手は40代くらいのすらっとした美人で、深夜に会える状況から既婚者ではないと想像できました。
探偵事務所はこうした状況も想定済みだったため、素早く浮気調査に変更しました。必要機材をスタンバイし、朝まで待機する人員を揃えてホテルの一室を借ります。
そして深夜から翌朝のチェックアウトの時間まで張り込んで撮影し、浮気の証拠を押さえたのです。
2人がホテルから出てくる一部始終を撮影して、チェックアウトしたのを確認しました。そして、すぐその結果を奥さんに報告しました。
「やっぱりですか。もう決まりですね。」
奥さんは諦めたように、夫との関係を切る決意をしたようです。行動調査を希望したものの、酒癖の悪さから、浮気の可能性も疑っていたのです。
調査はスムーズに終了したもののその後
離婚をしようと決めた奥さんは、1回のみの証拠では不足と感じ、さらなる浮気調査を希望しました。
お酒を飲むと大盤振る舞いしてしまうタイプで、酔った勢いで浮気に走ってしまったのでしょう。
これで裁判での離婚理由は完璧になり、ハッキリした証拠もとれたのです。行動調査、浮気調査は終了というかたちになりました。
ところが、困ったのはそれからで、奥さんは旦那さんの対応に相当苦慮したようです。
証拠をつきつけられた旦那さんは「え!?何これ!俺知らないよ!」と猛反論しました。
ホテルから出てくるシーンを見せても「えっ!ちょっと!えっ!これ俺?」と、まるで理解していない様子。旦那さんは自分のしたことなど全くわかっていなかったのです。
酒を飲んで完全に記憶をなくし、浮気相手と一緒にいたことさえ忘れていたのです。
奥さんは旦那さんの言葉に絶句しました。
「これ、○○(スナック)のママじゃん!あぁ〜・・・なんで・・・。」
浮気している相手の名前を自ら暴露しました。
旦那さんの記憶の中では、「知らない自分」がスナックのママと一緒にいることに疑問を感じたのでしょう。
飲酒モードの別人格の自分が浮気をしていたことに自分で驚いているのです。
そして、そこからいつものように猛省モードに入りました。正座して「どうもすみません。もう二度としません。」と奥さんに平謝りです。
以前のトラブルと同じように、しらふに戻って初めて事の重大さに気付いたのです。
気持ちの大きい奥さんでしたが、もうこの時点で離婚を確定しました。しらふに戻って反省する旦那さんは、まるで可愛い子供のようでもあります。
しかし、酒によって変わってしまう別人格もこれほどになるともはや病気の一種なのでしょう。
その問題が浮気になってしまうと、笑って済ませる話ではありません。
奥さんは旦那さんがしらふ人格のときだけ話をして、離婚条件を決めていきました。旦那さんはかなり反省したようですが、もう後戻りできない状態になっていたのです。
酒が許されない行為を誘発する引き金に
浮気調査では多くの場合、不倫をしている2人の間にお酒の存在があります。
・食事をしてデートして酒を飲む
・意気投合して盛り上がり酒の勢いで肉体関係を結んでしまう
・酒の席で出会った相手と気の合う関係になってしまう
・気になる異性を酒の席に誘ってみる
やはり肉体関係を結ぶ間柄になるには、しらふの状態では一線を超えないのでしょう。それだけ浮気には酒がつきものです。
酒に弱いタイプの人であれば、こうした注意はつきものといえます。気の合う異性がいれば、一線を超えるきっかけを与える要因になってしまうのです。
しらふではまったくの真面目、普通の夫なのに、酒を飲むと別人格になるケースは注意が必要です。女性の影がなくても、潜在的に浮気をするポテンシャルを秘めているといえます。
このケースでは後日、離婚条件を決めていた夫婦の姿がありました。猛省した旦那さんは平謝りで奥さんとの話し合いに応じたようです。
子供の養育費、夫婦の共有財産、親権など、シリアスな話がずっと続いていきます。奥さんは荷物をまとめ、家を出る準備を着々と進めていきます。
旦那さんはテーブルに置かれた離婚届けを見ながら涙したのでしょう。自身が招いた結末でありながら、酒のせいでどこか他人がやったような感覚になっているのかもしれません。
いずれにしても、後の祭りとなってしまいました。